ずいぶん更新をさぼってしまいました。
書くべきことがいろいろありますが、最近、インド哲学に興味が出てきました。
動機は、石飛道子氏、宮元啓一氏、梶山雄一氏、桂紹隆氏の本を何冊か読んだことにあります。私としてはそれと西洋哲学、特に分析哲学との接点を考えたいわけですが、石飛氏の本には、インド哲学、特にブッダや龍樹においては「因果性」が本質的だと書いてあります。
そこで、西洋哲学における「因果性」に関する文献をあげておきます。これは石飛道子氏の「マニカナホームページ」の「論理学教室」に書き込んだものと本質的に同じです。文章などは多少訂正してありますが・・
・因果性 ブンゲ著 黒崎宏訳 岩波書店
ずいぶん昔(1972年)に出た本です。手元にあるのは2000年に再版されたものですが、内容の変更はないはずです。
・Causation, Oxford readings in philosophy,Oxford Univwersity Press
因果性に関する比較的最近の著名な論文(15編)を集めた論文集です。論理学、可能世界、確率論などさまざまな角度から因果性が論じられています。
・定性推論の諸相 西川豊明著 朝倉AIらいぶらり 朝倉書店
人工知能関係で論理を使うときには、時間や因果関係を扱っているのは珍しくないですが、この本には特に「因果解析」という章があるのであげておきます。また、 「定性物理学」などあまり聞いたことのない面白そうなテーマも述べられています。
・日常言語の推論 塚原茂著 東京大学出版会
条件法「ならば」についてのみ書かれた一冊の本です。著者は言語学者だということですが、認知科学に関するシリーズ本の一冊です。
・原因と結果の迷宮 一ノ瀬正樹著 勁草書房
ヒューム因果論の現代的発展。著者独自の理論がメインですが、最近の因果論の紹介や充実した文献表もあります。
・Counterfactual David Lewis著 blackwell(日本語訳 反事実条件法 勁草書房)
反事実条件文を可能世界実在論で解析しています 。かなり記号が多く、数学の本のように見える部分もあります。
・Causality models,reasoning, and inference J.Pearl著 、Cambridge
因果の確率的数学理論のようですがまだ読んでないのでわかりません。
・The Oxford handbook of metaphysics, Oxford
現代の分析的形而上学のサーベイです。
ch12:Events
ch13:Causation and supervenience
ch14:Causation in a physical world
が関係すると思われます。
これから、読んだことを少しづつ書き込んでいこうと思います
2015年12月5日追記
結局どれもちゃんと読んでいないのですが、追記
・J.pearlの本は和訳が出ました
統計的因果推論-モデル・推論・推測, 黒木学訳, 共立出版2009年
・Oxfordからは因果性に特化したハンドブック
The Oxford Handbook of Causation
が出版されました。約800ページあり、因果性というのが現代英米哲学中かなり大きな分野であることが推察できます。